猫、月、海

傷つけるための爪だった
まぶたのうらが目映すぎた

愛みたいな同情はいらないと猫
すこしもくもらないままないて
咥えた夏のなごりを
噛み砕くふりして嚥下した

尊大さをかたるようにそっと
喉元に当てた手が震えた
児戯だった、
銀砂だった、

三日月よりも新月に似た海

20070223