泣きたい夜に星がまたたく
だれも唱えない呪文
そっとのどの奥でのみこむふり
やさしさは美しいと思っていた
月をみて
涙をすくった手のひらは
柘榴石
晴れない西の空に
眠れとせがむ
泣きたい夜に星がまたたく
だれも唱えない呪文
そっとのどの奥でのみこむふり
やさしさは美しいと思っていた
月をみて
涙をすくった手のひらは
柘榴石
晴れない西の空に
眠れとせがむ
かなしみは波(仮題)
触れた指から苦しみが溢れでて
きみの涙の色を知る
ぼくたちはとても大きな後悔を背負って
消えてゆく声ですら愛しいんだ
間違ってるってわかってる。
哀しみはこの腕に
春の空をうらやんで
幼さに恋焦がれても
戻れない日々は美しいまま
さよならの夜(仮題)
月のない朝におまじない
ピアノの涙はだれでも召し上がれ
子犬の笑い声は今日も高らかで
この胸のいたみはきっと気のせいなんだ、ほら
おいでよって手を引いて
つま先から流れてゆくかなしみを
そっと手のひらで包んで
何も変わらない毎日が欲しかった
そして
さよなら 夜は明ける
別れの言葉はいつもきれいで
目を背けたくなるほどまばゆい
宇宙の果てがこのひとみ
やがて愛が消え果るまでのおとぎ話
駆け出して!逃げ出して!
月はどこまでもぼくを笑っている
だれも愛してくれないのはぼくが不完全だから
いつまでたってもぼくはぼくだ
駆け出して!逃げ出して!
その先には何もないんだって
知ってる知ってるだから何も言わないで
ぼくの心臓はいつもいつもいつもいつも
駆け出して!逃げ出して!
なにもいらないよ、きみだけの声があればいい
断ち切った想いが
質量を増して
背中に爪痕を残す
影を知らないから
あるいは強くなれた
の、
だとしたら
罪は果てる間もなく
やがて肺に
積もる
きっと誰もかえってこない
くらい部屋で
ひとり泣いたふたり
やさしさを捨てる勇気もなくて
なにもなくて
世界は愛に満ちていると
信じていたかった
くらい部屋で
ひとり泣いたふたり
優しさを伝え合いたいと思うことが終わりだった
悲しさに負けない強さを欲しがるのも弱さだった
明日を望んでも叶わないなら
もう何も望まないと誓ったのに
今日もこの胸に宿る怯えはかすかな期待
せめて昨日を忘れたいと願っても
同じ夢はもう来ない
さよならと愛を告げる鳥のように
わたしにも翼があればよかった
会いたいと嘆くことすら罪で
背徳に向かうことが正義だった
あなたはここにはいないから
わたしはいつまでも想い続けられる
ずっと許されることがないから
束の間の嘘 愛して
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